第1章 Tail 1~出会い~
ガラスでできた大きな扉を開いて中に進むと
そこには二人の男女がいた。
一人はピシッとスーツを着こなしたさわやかな男性。
少し緊張した面持ちで頬が紅潮気味だ。
もう一人は部屋の正面に提げられたスクリーンの前のテーブルに座り
パソコンや資料を眺めているきれいな女性。
この人はきっとこの会社の方だろう。
頭の先から足の先まで何もかもが完璧で
きらきらとしたオーラをまとっている。
その人の周りだけラメが降り積もっているかのようだ。
部屋の入口で戸惑っている私と桃子に気が付くと
その女性は笑顔で声をかけてくれた。
○○「あぁ、ごめんね!気づかなくて…」
潮浬「おはようございます」
桃子「よろしくお願いします」
その女性のIDカードには河瀬亜津実と書かれている。
名前の上には【主任】という肩書まで…
亜津実「初めまして!前に詰めてあいているところに座ってもう少し待っててね」
そういうと亜津実さんはにっこり微笑んで資料に視線を戻した。
私と桃子は入口に近い列の一番前と2番目に順番に座った。
私の隣はさっきのさわやか男子が座っている。
さわやか男子は私にちらっと視線を向けると
ぺこっと頭を下げるとまっすぐ前を見つめていた。
―――――数分後
時計の針はもうすぐAM9:00を指そうとしている。
たしか今日の業務研修は9:00~だっけ…
―――…バンッ!!
勢いよくガラスの扉が開かれた。
割れてしまわないかどうか心配になってしまう。
○○「すみませぇん、遅くなりましたぁ」
甲高い声と共にきらびやかな化粧をした女性が入ってきた。
そしてさわやかな男性の後ろの席に腰かけた。
私も桃子も亜津実さんも
さわやか男子までもが呆気にとられてしまっている。
一瞬雰囲気の変わった空気をもとに戻すかのように
亜津実さんの声が部屋中に響いた。