第1章 Tail 1~出会い~
全員が少し緊張した面持ちで代表の登場を待つ。
するとそこへ…
―――――キィ…
ガラスの扉が開き亜津実さんの姿がちらっと見えた。
亜津実「代表、こちらです」
亜津実さんの声の後に室内に足を踏み入れる男性。
この人が代表といわれる方だ。
すらっと伸びた足に深めのグレーのスーツを履き
ブルーのシャツにストライプのネクタイを締めた
清潔感の漂う男性だ。
短めの黒い髪はきちんとセットされており
それがなお好印象を与える。
亜津実「みなさん、ご紹介します。
わが株式会社Suite Roomの創設者であり
代表取締役社長の本堂喬太です。」
本堂「初めまして。
このたびは数ある企業の中からわが社に入社していただき大変うれしく思います。
ありがとう。
これからみんなでプロジェクトを盛り上げていけるように
俺も最大限努力するつもりだからついてきてくれ」
代表は言葉少な目にまじめな顔であいさつすると
突然張りつめていたものが切れたかのように
ふわっと笑顔を見せた。
本堂「いやー、俺こういう堅苦しいの苦手なの!
まあとりあえずこれから一緒に頑張っていこう(笑)」
…
なんと人当たりのよさそうな笑顔。
この人が代表でなんだか安心感がわいてきた。
亜津実「では、あいさつもそこそこにして先ほどのIDができあがったのでみなさんにお渡ししますね」
さすがやることが早いというかなんというか。
亜津実さんにひとりずつ名前を呼ばれ
スクリーンの前までIDを受け取りに行き
受付でもらったVisitorカードと交換する。
受け取ったIDはロココ調というかなんというか
白を基調にしたベースにゴールドで装飾が施されており
そこに先ほどとった写真とそれぞれの名前が印字されていた。
そして名前の上には
【株式会社Suite Room プランニングプロジェクトチーム】の文字。
なんだか本格的で心が躍るような感覚だ。
しかも先ほどの写真はまるで自分じゃないかのようなきれいな仕上がり。
あの一瞬の出来事なのにプロの手にかかると
こうも違ってくるものなのだろうか?