第4章 冬ノ刻 斎藤一
「怪我でもしたか……!?」
「えっ!? あ、いえ……雪がこんなに冷たいとは思っていなかったもので。少し、驚いてしまって……」
「雪に触ったことがないのか?」
「そうですね……私が覚えている限りですと、ないように思います。なので、冷たいとこうして掌が赤くなるなんて、不思議でつい見つめてしまいました」
「そうか……怪我がないなら、いい」
一様は安心したように、掴んでいた手を離しました。そういえば、一様に触れられたのはもしかすると、これも初めてかもしれません。どうやら今日は、初めてが多い日のようです。とても、素敵なことですね。
雪うさぎというのはよくわからなかったので、とりあえず一様のを盗み見しながら、せっせと作ってみます。うーん……雪うさぎ、思ったより難しいですね。
「なぁ、志摩子」
真剣に取り組んでいると、不意に一様が声をかけるので私は手を止めて顔を上げた。
「はい、何でしょうか?」
「俺があんたを守りたい。そう言ったら、どうする?」
「……へ?」
あまりにもそれは唐突でした。けれど思ったよりも一様の瞳は真剣で、真っ直ぐ私を捉えていました。