第4章 冬ノ刻 斎藤一
「どう……と聞かれましても、よく……わかりません」
「そうだな、俺も誰かを守りたいなどとつまらない感情を持つつもりはない。守るのは新選組という柱、信念のみ。だが……時々思うことがある。誰かを守ろとする力は、強さになりうるのかと。どう、思う?」
「それを私に問うのですか? そうですね……はっきりとはわかりませんが、強い想いに呼応してそれが何か大きな力になる……ではないでしょうか? よくわかってもいないのに、無責任な言葉だと思われるかもしれませんが」
「……あんたを、抱き締めてみてもいいだろうか?」
「えっ!? どっどうしてですか?」
「以前総司に……異性を抱き締めてみれば、守りたい気持ちの元がわかるかもしれない……と言っていた。やはり駄目だろうか」
「えっえっと……だ、大丈夫です」
私が弱々しくそう口にすると、一様は少しだけ躊躇ったように……けれどそっと優しく抱き締めて下さいました。雪とはけして違う、とても温かいぬくもりを感じて……私も無意識にその身を抱き締め返していました。
恥ずかしいはずなのに、何処か安心するような。不思議、です。
「……志摩子は、温かいな」
「いえ、一様が温かいのですよ」
「……ふむ。やはり、よくわからないな」
一様はそうして満足したのか、私を離すとまたすぐに雪うさぎ作りに没頭し始めました。なので私もつい、一様に聞いてみたいことが出来て尋ねてみることにしました。