第4章 冬ノ刻 斎藤一
「ありがとう……ございます」
「副長達が起き始める前に、早く終わらせてしまおう。俺のこの後自主練がある」
「そうなのですか。毎日熱心ですね」
一様と言えば、この本丸の中でも私と同じくらい……でしょうか? 朝起きるのが早い方だったりします。朝餉の仕込みがあるので、私は自然と早く目が覚めるのですが……一様の場合はどうやら早くに起きて剣術を磨いているご様子。流石と言えます。
一様が来て下さったお陰で、雪かきはすぐに終わりを迎え始めました。
それとほぼ同刻、歳三様が肩を震わせながら玄関先へと出て来ました。
「お、おめぇら早いな……ご苦労なこった。お陰で玄関が綺麗になりやがった」
「おはようございます、歳三様。一様が手伝って下さったお陰で、早く終わったのです。一様、ありがとうございます」
「俺は別に……ただ当然のことをしたまでだ」
「ああそうだ、斎藤。悪いが今日の会合、お前は屯所に残っててくれねぇか? 綱道さん関連で雪村を連れていくのはいいんだが……屯所に志摩子と他の連中だけにしとくのは、ちと心配だ。お前なら安心して任せられるしな。留守を頼めるか?」
「わかりました。しっかりと務めを果たさせて頂きます」
歳三様は「さっさと中入れ、風邪引くぞ」と少しぶっきら棒に告げて先に屯所内へと戻っていきました。私と一様も、その後を追うように中へと入って行った。