第2章 夏ノ刻 沖田総司
「大丈夫か? 志摩子……怪我はないか?」
「はい……だ、大丈夫です……それよりも、総司様が……っ」
「いや、心配ない。浪士達は死んでいるように見えるやもしれんが、きちんと息はある。総司の腕を信じてやれ」
「ですが……ッ」
「あんたが襲われ、少し頭に血が上ったのだろう。やりすぎだとは思うが、あんたが気にすることでもない」
「……はい」
私が無様に捕まったせいで、総司様にこんなことをさせてしまうなんて……。私がそうして俯いていると、ぽんっと優しく頭にぬくもりを感じて少しだけ視線を上げた。
「志摩子ちゃん、怖かったね。もうあの怖い男共はいないから安心して」
「総司様……っ」
一様が私から離れ、後処理を始める。入れ替わりのように総司様が傍へやってくると、折れてしまうのではないかと思うほどに、強く……強く抱き締められた。
「総司様……」
「ごめんね、僕がきちんと君のことを見ていなかったから……こんな怖い目に遭わせてしまって。本当に反省してる、ごめんね」
「……私の方こそ、申し訳ありません……このようなことで、総司様に……ご迷惑を」
「いいんだよ、それくらい。何があっても、僕が必ず君を守ってあげる……そう、何があってもね」
「そんなこと、仰らないで下さい。私もちゃんと……総司様に返したいです」
そっと、震える手で総司様の背に腕を回す。指先まで恐怖が抜けず、震えが伝わってしまったのかもしれない。先程よりも更に、強く抱き締められてしまった。こんなにも心配して下さるなんて……なんて、優しい方なのでしょうか。