第2章 夏ノ刻 沖田総司
「……――汚い手で僕の大切な人に、触らないでくれるかな」
「なんだっ……!? ぐあっ!!」
「ひぃ……ッ」
突如、のしかかっていた男が退いたかと思えば……ゆっくりと私へと近付く男達とは違う足音。恐怖で心臓が煩い、そんな中で震えながら視線を彷徨わせれば優しく私を抱き起す、知った香り。
暗闇ではっきりとわからなかったその姿も、目が闇に慣れたと同時に徐々に姿を見せる。茶色の髪、翡翠色の瞳。
「総司……様……ッ?」
「助けるのが遅くなってごめんね、怖かったね? もう大丈夫。僕が全部……嫌なものを消してあげるから」
総司様は一旦私から離れると、素早く刀の柄を握り締めたまま男達へと斬りかかっていく。断末魔が聞こえる中、闇を通り抜けていくような鮮血。鉄の臭いが辺りに散らばったのを感じると、私は両手で口を押さえただその光景を見つめていた。
男達が動かくなったところで、背後から数人の足音が聞こえて来た。
「総司! これは……っ」
駆けつけてくれたのでしょう。現れたのは、一様率いる三番組だった。一様は私の姿を捉えると、すぐに近くまで走り寄り私の肩を抱いてくれた。