第2章 夏ノ刻 沖田総司
「ん……ッ!?」
「大人しくしろ……死にたくなければな」
そうこうしている内に、お腹に鈍い痛みを覚え私はそのまま気を失った。
◇◆◇
身体が重い、頭が重い。鈍い痛みから目が覚めた頃には、誰かに担ぎ上げられ夜の町を走っていた。
「へへっ、此処までくれば誰にも見つからねぇだろ」
「おい、この女どうするんだ?」
「こんだけいい浴衣着てるんだ、どっかの姫さんなんじゃねぇか? 売ればいい金になるかもな」
「身ぐるみ剥いでしまおうぜ、その浴衣もそれなりに売れるだろう。あとは……ちょっとくらい味見するのもありじゃねぇか?」
ゆらゆらする視界の中、二人の男を確認することが出来た。男達はにやにやと気持ち悪い笑みを浮かべながら、私を乱暴に月明りさえ差し込まない路地に降ろす。身体に衝撃を覚え、私は顔を歪めた。
「おうおう、起きたか。ふっ……よく見れば綺麗な瞳してやがる、身体をばらしても売れそうだなこいつぁ」
「……ッ」
知らない男の手で、頬を撫でられ恐怖で顔が引きつるのを感じる。その場に押し倒され、身動きさえ取れなくなっていく。必死の抵抗をみせるも、折角まとめ上げた髪がはらりと落ちるのみだった。怖い、どうしよう。――総司様ッ!!