第2章 夏ノ刻 沖田総司
「総司! 帰ったぞ!!」
「おっ、噂をすればなんとやらなのかな……。平助達も帰って来たことだし、志摩子ちゃんは早速着替えてくれば?」
「はいっ! そうさせて頂きますね」
私は大事に浴衣を抱えると、自分の部屋へと急ぎました。
◇◆◇
鏡の前で変なところがないか、確認。やはり一人で髪をまとめ上げるのはとても大変でした……でもわりと上手く出来ているように思えます。けれど、こんなことなら千鶴様にお頼みした方がよかったのでしょうか。
すると、部屋の前に人の気配を感じたので不意に顔を向けた。
「志摩子ちゃん、準備はどう? 出来た? さっき土方さんに許可貰ったから、遠慮なく出掛けられるよ」
「はい、もう出ます」
巾着袋を手に、障子を開けるといつもと違う雰囲気の総司様がいらっしゃいました。よく見ると、どうやら彼も浴衣を着て下さっているみたいでした。