第2章 夏ノ刻 沖田総司
「暑いけどいい天気ですね……」
ぱたぱたとうちわを扇ぎながら、縁側で今日は日向ぼっこです。と言っても、毎日この暑さですから……木陰に入りながらなので、少し違うのかもしれません。ちりんちりん、と風鈴の音と重なって蝉の声を聞く午後。
本日は皆様多忙故、ほとんどの方が出払ってしまい屯所内はいつもより静かに感じられます。何やら少し眠くなって参りました……。
「少しくらい寝ていても、大丈夫でしょうか」
徐に縁側に身体を寝かせて、瞳を閉じる。遠く遠くなっていく蝉の声が、少しだけ心地よい子守唄のように聞こえてくる。ああ、このまま本当に眠ってしまいそうです。
「あれ、志摩子ちゃんが昼寝なんて珍しいね?」
「……っ!?」
思い切り飛び起きれば、目の前にはにやにやと意地の悪い顔をした総司様がいらっしゃいました。
「ふふ、なんだ起きてた」
「そっ総司様!? 本日は一日中外にいらっしゃるのでは!?」
「ん? まぁ、その予定だったんだけど……平助達の予定が少し変わったからね、屯所が手薄になりすぎるってことで、僕の部隊は一旦戻って待機になったんだよ」
「そうだったのですね……とりあえず、おかえりなさいです」
「うん、ただいま」
浅葱色の羽織を着て、それでもいつも通りの総司様の笑顔を見ることが出来て、少しだけほっとしている自分に気付く。今日も無事に帰って来てくれた……それだけで、どれだけ有難い事か。