第12章 ワタシと屋上
教室に戻ると征十郎と目が合う。
(あ、そーだった。)
祥吾といたことで征十郎へのムカつきは消えていてさっきあったことなどすっかり忘れていた。
何事もなかったかのように自分の席に着く。
「…どこにいっていたんだい?」
口を開いたのは征十郎だった。
『別に…どっかそのへん。』
そう答え会話は終了した。
征十郎は普通にしているが私はそのギクシャクとした雰囲気を感じ落ち着かなかった。
『…さっきのこと全部なかったことにしよ。』
視線は前を向いたまま征十郎に言う。
『私は征十郎からなんも聞いてないし、征十郎は私になんも言ってない。』
「そうしたとしても僕の考えは変わらないよ?」
『それでもいい。今こうして征十郎とギクシャクしてるのが嫌だから。』
征十郎はふぅと息をつきこちらを見る。
「…。わかった。すまなかった。…でも俺だってヤキモチくらい妬くよ。梓は自分の魅力をわかっていないのかい?」
私の頭を撫でる。視線を征十郎のほうへ向ける。その顔つきはいつもの優しい征十郎だった。
ーーーー。
午後の授業が終わり携帯を開くと授業の始まる前に虹村さんに送ったメールの返信がきていた。
虹村さんからの返信には一つの携帯番号が添付されていた。
祥吾のものだ。
今日一緒に帰る約束をしたが連絡先を知らなかった為虹村さんに聞いたのだ。
征十郎も知っているとは思ったが征十郎に聞くとまたなにか面倒なことになりそうな気がした為それを避けた。同じ理由で今日は部活に顔を出すこともやめた。
今日は部活に参加したあとの征十郎の送りを断ることになるからだ。
祥吾に部活が終わるまで図書室で暇つぶししてる。とメールを送るとわかった、終わったら電話する、とすぐ返信がきた。
ちゃんと部活に行くようだ。
(やっぱりなんだかんだ素直な子なんだよな…。)
と私は思った。