第17章 12月20日
「なんだか感じの悪い人だったね。あの人、梓の“お母さん”だよね…一応は。」
『あ、うん。でも事故以来会ったのは今日が初めてだから面倒臭そうなオバさんとしか思えないけど…。』
ふぅ…とため息をつく私と隣でなにが可笑しかったのかわからないがクスクスと笑う征十郎。
「まぁ、その“オバさん”のことを考えるだけ時間の無駄だね。…それより梓。ドレス似合ってる。いつもと雰囲気が違ってドキドキしてしまうよ。」
なんでこういう言葉をサラリと言えてしまうのか。
そしてその言葉に心踊ってしまう自分がいた。
ただこれは征十郎だからこそ成り立つのであってその辺にいる男性にいわれたところで鳥肌がたち苦笑いでかわしてしまうだろう。
『…ありがと。……あ!征十郎!!渡したいものがあるの!ちょっと待ってて。』
ソファーから立ち上がるとトタトタと小走りでクロークに預けた荷物を取りに行きそれを手に征十郎のもとへと戻った。
『これ…征十郎、お誕生日おめでとう。』
そう
今日12月20日は征十郎の誕生日。
先日バスケ部の皆でお祝いはしたのだが当日に会えるのだから個人的にもお祝いをしようと思った。
それに、彼には今年二度誕生日のプレゼントを貰っている。
なにかお返しをと思っていた私にはちょうどよかった。