第12章 ワタシと屋上
いきなりんーッと灰崎が両腕を上あげグッと伸びをする。その両腕をストンとおとすと
「…んだよ、それ。」
と笑う。
「いきなり食い気味に突っ込んできたと思ったらだんまりか。まぁ言いたくねーなら無理して言う必要ねーよ。」
そう言う彼の隣は心地が良かった。
「てかお前俺のこと怖くねーの?……。この前あんなことしちまって。………悪かった。」
しょんぼりとした表情にかわる。
『怖くないよ…あのときはむかついたけど…私たち付き合ってたでしょ?』
その言葉にパッとこちらをみて思い出したのか?と聞かれたが
『お兄ちゃんに聞いた。』
と答えた。
「ぁぁ…楓さんね…。」
灰崎は首をぐるーんっと何回か回すと空を見上げた状態でその動きをとめる。またしばしの沈黙だ。
『なんで別れたの?』
今度は私から話しかける。
「それ言わなきゃダメなやつ?」
上を見上げたままそう返事する灰崎。
『…ダメなやつ。…いいじゃん。私記憶ないんだし。他の誰かに言うような感じでさっ!気軽に話してみてよ!』
「気軽にっつったってよー。」
そう言いながらも灰崎は話を続けた。
「俺ら最初はみんなに内緒で付き合ってたんだよ。」
見上げていた頭を元の位置に戻し視線を床に向け話し始める。
「でもまぁ学校で二人でいることもあったし一緒に帰ったりもしてたからある程度したら皆気づき始めてた。
そんくらいんとき他校の連中に俺が絡まれてまぁボコボコにしてやって終わったんだけどよ。何日かしてから赤司に呼び出されて梓が狙われた。って言われた。そのボコボコにした連中が腹いせに俺の女に手ぇ出そうとしたんだよ。そんときはちょうど赤司が一緒にいたから何事もなくすんだみたいだったけど。」
私は相槌をうちながらその話を聞く。
「梓の為を思うなら別れろって言われた。俺お前のことすっげー好きだったし離れたくなかった。でも俺のせいでお前に酷い目にあってほしくなかった。別れようと思った。ただ赤司にその理由じゃ梓は引き下がらないだろうって言われた。まぁお前気ぃ強かったからな。俺もその意味はわかった。だからその辺にいた女捕まえてわざとお前の前に行ってもうお前に飽きたから別れよって一方的に振った。そーゆー感じかな。」
灰崎の説明は簡単なものだったが一連の流れは把握できた。