第12章 ワタシと屋上
いつもどおりの学校生活。今日もいつもと同じように食堂へ向かう。
席にむかうとそこにはいつもとは違う点があった。
皆と同じ席に桃井がいた。当たり前のように大輝の横に座っている。
「あ!梓ちゃん!赤司くん誘われてきちゃった!」
「この前桃井と話していただろう?梓ももっと話したいかと思ってね。」
椅子に腰をおろしながらそう言われた。
目の前で大輝が桃井の皿からおかずをとりそれを桃井が怒り二人でわちゃわちゃと仲睦まじそうにしていた。
(あーまただ。)
その光景をみて私の胸はまたモヤモヤとし始める。
いつもより口数少なく昼食を食べ終えると席を立つ。
「あれ?梓ちんもう行くの?」
『午後の授業の宿題、最後までまだ終わってなくて。』
もちろん嘘だ。目の前にいる二人の姿を冷静にみていられなかった。だからはやく教室に戻ろうと思ったのだ。
「じゃあ僕も一緒に戻るよ。」
征十郎もすでに食べ終えていて一緒に席を立つ。
二人で食堂を後にした。
「体調でも悪いのかい?」
教室に戻る道のりで征十郎が口を開く。
「キミが宿題を終わらせていないなんてこと今までなかっただろう?」
確かに。宿題に関しては私にとって簡単なものが多く放課後残って帰る前に終わらせたりしていた。
「…そんなに嫌だった?あの二人を見ているのが。」
その言葉に私は足をとめる。征十郎が数歩先に進みピタッと足をとめるとこちらを振りかえる。
「キミと大輝のこと、僕が気づいていないとでも思った?」
そう言って話を続ける。
「梓、“青峰くん”って呼んでたはずだよね?それがある日“大輝”に変わった。あの雨の次の日だったかな?朝も廊下で大輝の教室を覗いていたね。いつもと梓の雰囲気が違ったからね。前にも見たことあったんだああいう梓を。」
征十郎は淡々と話す。あの日征十郎はなにかを考えていたがこのことだったのか、と私はやっと気が付いた。
「部活の着替えのときに大輝の鞄の中に昼休みに梓がもっていた袋が入っているのが見えた。…あの中身はなんだったの?」
征十郎の質問に答えを返すことができない。
「まぁ言いたくないなら言わなくてもいいよ。」