第3章 ここはどこ、私は誰?
その小さな鏡には
綺麗な二重をしたぱっちりな目。
薄いグレーのような水色のカラコンを入れたような瞳。
筋の通った鼻。
少し赤みを帯びているふっくらとした唇。
それぞれのパーツがしっかりとしているが主張しすぎずバランスのとれた顔立ち。
そして
透き通るような綺麗な水色の髪。
鏡が小さいため全体を見ることは出来ないがそこには美少女というのにふさわしい幼さの残る女の子が映し出されていた。
(ーーーーー。あ、夢だ。)
しばらく鏡を見たまま思考が停止していた私だがようやくここにきてなんとなく理解し始めた。
鏡を手にしているのは私。
ということは鏡に写っているのは私自身。
だがそれに写っているのは見たことのない美少女。
そして12歳。
本来の自分は明るめの茶髪に切れ長の二重。
そして25歳なのだ。
自分でいうのも悲しいがいくら肌が綺麗であっても鏡の中の少女ほど潤ってはいない。
自分のはずなのに自分の知っている自分ではない。
この状況が夢以外の他の何にも考えられない。
パタンと鏡を閉じありがとうございました。と医師に返した。
『焦ったー。夢かーー。』
そう呟くとそのまま目を閉じた。
「起きたばかりで色々状況がつかめないと思うから少しゆっくりするといいよ。」
医師がそう言いカルテになにか書き込むペンの音だけが聞こえてきた。
(あー夢だったかー。焦った。夢の中で夢って理解することってあるよねーたまに。このパターンですねー。あーびっくりしたー。
……あー、、現実の私は大丈夫なのかな、、事故。あんまり怪我とか酷くないといいな。)
色々と考えていると頭の中がぼんやりとしてきて私はそのまま眠りについた。