第3章 ここはどこ、私は誰?
「………で………………ので………が」
誰かの話し声が聞こえぼんやりとしていた頭の中がすーっとクリアになっていく。
薄目で周囲を確認するとさきほどの医師とスーツ姿の男性が二人が横にある椅子に座っていた。
『ん、、。』
自分の身体を起こそうとすると
「…!!梓!!大丈夫か?!」
とスーツの男性が近づいてきた。
(誰だ?この人)
男性が支えてくれ私は身体を起こした。
中年男性に身体を支えられているが不思議と不快感はなかった。
身体を起こした際、自分の視界に水色の髪がはいる。
『あれ?まだ夢ん中?』
そう言葉を発すると医師は困ったように
「まだ寝ぼけているのかな?この人が誰だかわかるかい?」
と問う。
(この人ってこのおじさんのことだよね、、)
『わかりません。すいません。』
スーツの男性を見ると悲しそうな目をしており思わず逸らし謝罪をした。
「頭を打った後遺症だと思われます。記憶障害ですね。」
(リアルな夢だなぁ、、)
医師を横目にこんなことを考えていた。
「こういった事故で記憶障害を起こすケースは少なくはありません。まだ事故直後ですし一時的なものかもしれません。検査の結果は脳内、身体ともに異常はないのでしばらく安静にしていただければ退院はできます。それについてはーーー。」
医師は淡々と話を続けていく。
「ーーということで。ご家族でゆっくりお話なさってください。なにか思い出すかもしれませんので。僕は一旦戻りますので何かあれば呼んでください。」
そう告げ医師は部屋を後にした。