第3章 ここはどこ、私は誰?
医師の発言に自分の脳内はさきほどの穏やかな状況から一変し思考モードに切り替わる。
(自転車に当て逃げ?タクシーに乗ってない?…てか下校中ってなに?)
『先生。』
「はい?なんですかー?」
医師はニコニコとこちらを嬉しそうに向いた。
『私って何歳ですか?』
ニコニコとしていた顔が固まり一瞬で険しい顔になる。
「…。梓さん。お名前をフルネームで言ってください。」
『梓。ーー。名字は、、。』
(ーん?あれ?なんだっけ。)
25年間も名乗ってきた自分の名字が思い出せない。
(あれー?名前はわかるんだけどなー、、。なんだっけなんだっけ。)
んー?っと私が頭を悩ませていると医師が
「梓さん。貴方は水崎梓さん。12歳。わかりますか?」
医師が真剣な眼差しでこちらを向く。
(ジュウニサイ?じゅうにさい………12歳?!)
『12歳?!』
今までで一番の大声を出し
『これのどこが12歳に見えるんですか?!』
と前のめりで医師に主張する。
医師は今だ真剣な眼差しで眉間に軽くシワを寄せ
「後遺症かもしれません。お父様がご到着されてからゆっくりお話ししましょう、、」
(いやいや、おかしーのはお前の頭だろ?!確かに私童顔だけど12歳はないわ。頑張っても20歳だわ!大丈夫かこいつ?)
と思ったものの医師に対してそのような発言は出来ず控えめに
『鏡とかってあります?』
と尋ねた。
「これだったら、、」
医師が手のひらサイズの小さな鏡を胸ポケットから取り出した。
ありがとうございますと受け取り鏡を覗くとそこには
見たこともない人物が写っていた。