第10章 帝光バスケ部
コート上では練習は続く。
「見て、青峰くんドリブル速い。…あー昔は小さくで可愛かったのに。どんどん大きくなっちゃってバスケも上手になってなんか置いていかれちゃう気分になるなー。」
桃井が青峰を見る目はすごく優しく幼馴染だなという感じが滲み出ていた。
ーモヤ。
「まぁ青峰くんバスケしてるときはすごく楽しそうで応援したくなっちゃうんだけどね。私がマネージャーしてるのも青峰くんがいたからなの。なんかほっとけないんだよね…あいつ。」
ーモヤ、モヤ。
自分の胸にムカつきをおぼえる。
「この前なんてね、朝なかなか迎えにこなくて!青峰くん家まで行ったらまだ寝てたんだよ?起こしてもまたすぐに寝ようとしちゃうし…遅刻しそうになっちゃったの!ほんっと寝起き悪いんだもん。私がいなかったらどうなることやら!」
ーモヤ、モヤ、モヤ
ーイヤダ、イヤダ、キキタクナイー
頭の中で声が響く。
「青峰くんのお母さんにもさつきちゃんが『ーッあのさ!』
ワタシの言葉に桃井が話をとめる。
『…あのさ、、、。あーあっちの体育館も見に行っていいのかな?』
もうひとつの体育館がある方角を指差す。
「あ、ごめん。話しすぎちゃったね。うん、三軍の体育館だよね?大丈夫だよ!梓ちゃんいつも向こうにも顔出してたし。あ、でも私今日一軍の担当だからついていけないけど…大丈夫?」
桃井の言葉に大丈夫と返しちょっと見てくる、と立ち上がってその場に桃井を残し一階へと降り体育館を出た。
私は三軍の体育館へはいかずその足は中庭へと向かった。
中庭のベンチに腰を降ろす。
(あーなんだこれ。)
自分の中にある胸のムカつきに苛立ちを隠せない。
桃井が大輝のことを話している間、私の胸にはずっとこのムカつきがあった。
(ただの幼馴染ってだけじゃん。それに桃井はこれから黒子のこと好きになるじゃん。桃井の相手は大輝じゃないじゃん。、、、。…ってあれ?なんで?私ヤキモチ妬いてる?)
ものムカつきは紛れもなく桃井に対する嫉妬であった。