第10章 帝光バスケ部
ワタシは体育館の二階の床に座りながら皆の姿を見ていた。
準備体操をしウォームアップのような運動をしている。
(なんだっけこれ、、うーん、シャトルラン?だっけ?)
笛の音と同時にスタートし体育館の端から端へと走る。また笛の音がなり今度は今来た直線を反対に戻る。
それを何往復も繰り返していた。
以前緑間が選手の状態を見極める力がワタシにはあるといっていたが彼らの走りこむ姿を見てもただキツそうに走っているだけにしか見えなかった。
(やっぱなーんもわかんないや。)
ただただボーッと彼らの走る姿を目で追う。
「梓ちゃん!」
声のするほうを見ると桃色の髪をポニーテールに結んだ少女がいた。
(桃井だ。)
彼女はワタシの横に腰を降ろした。
「梓ちゃん!あ、私は桃井さつき!バスケ部のマネージャーだよ!」
こちらを向いて自己紹介をされた。
「だい…あ、青峰くんたちとはもう会ってるんでしょ?私も梓ちゃんと話したかったのになかなか会えないし。今、上に梓ちゃんいるから少し話してこいってキャプテンに言われてきちゃった。」
中学生らしい可愛い顔をして笑っている。
(まだおっぱい小さいな…。)
彼女の言葉を聞きながら私はこんなことを考えていた。
ダン、ダン、と音が響いたので皆のほうを見ると今度はボールを持ちさきほどのシャトルランを始めた。
「ドリブル練。いつも部活は梓ちゃんが考えた基礎練から始まるの。」
『へぇ、ワタシが…』
「梓ちゃんすごいの。状態を把握してちゃんと皆にあった練習メニュー組んで…すごく選手の力になってた。…私はなんの力にもなれないけど。」
『なんの力にもならないってことはないよ。マネージャーだって皆の力になってると思うよ。それに桃井さんには……』
あ、と思い私は言葉をつまらせた。
(…あぶなっ!データ収集って言いそうになった。まだこのときはそれやってないんだ…。)
危うく自分が知っている情報を口に出しそうになった。
「桃井さんには……ほら、ね、すごい可愛いし、皆を癒すっていう技があるんじゃないかな…」
無理矢理言葉を紡ぐ。
なにそれーと桃井は笑った。
(よかった、回避出来た。)