第10章 帝光バスケ部
その途中おぃーすっ。と後ろから頭をぽんと優しく叩かれる。
「今日見学すんだろ?赤司にきいた。」
と彼はワタシの横に並ぶ。
虹村さんだ。
『皆の邪魔にならないように気をつけます。』
「体育館のど真ん中に立ってたとしても水崎のこと邪魔だなんて思う奴なんていねーよ。」
鼻で笑いながら虹村さんがそういった。
そのまま虹村さんと体育館に一緒にはいるとすでに征十郎は体育館にいた。ワタシたちの姿を確認するとこちらに駆け寄ってくる。
「どこにいっていたんだい?先にいったのにいないから…迷子にでもなっているのかと思ったよ。」
『間違えて向こうの体育館いっちゃってた。』
「あぁそうか、すまない。一軍はこちらの体育館というのを伝え忘れていたね。」
その会話を聞きながら水崎なら迷子もありえるな、と虹村さんが笑っていた。
「あ、梓ちーん!。」
バタバタとやってきた敦が後ろからワタシに抱きつきワタシの頭に顎を乗せる。
「これー。はい。」
後ろから差し出された敦の手にはまいう棒の束が握られていた。ワタシはそれを両手で受け取る。
『ありがとう。』
「うん、梓ちんの好きな味だといーな。」
敦がワタシから離れ同じ包装のまいう棒をポケットから取り出すとビリビリと包装を開け食べ出した。
「おい、紫原。体育館で菓子を食べるな。」
「よくそんな喉乾くもん練習前に食えるな。」
クイッとメガネをあげながら緑間が体育館入ってきてその後に大輝が続く。
「よし、じゃぁ練習始めっぞ!」
虹村さんが大きな声を出すとその場に部員が集まってくる。
(あっ…)
その中には灰崎の姿もあった。ワタシがそちらを見ると目があうがすぐに逸らされてしまった。灰崎と会うのはあの屋上で会った日以来だった。
そう思っていると部員たちがザワザワと話をしていて水崎さんだ、や梓ちゃん!などワタシの名を呼んでいた。
「おーおーお前らそんなに水崎の地獄トレーニングが恋しいのか?だけど水崎は今日見学だ。変わりにいつもより三倍増しで俺が可愛がってやるからなー。」
虹村さんの一言に部員が固まる。
「梓は上で見学しているといいよ。ボールが飛んでくると危ないからね。」
征十郎に言われワタシは体育館の二階へとあがった。