第10章 帝光バスケ部
昼食を終えクラスへと戻るなかさきほどから征十郎が何かを考えこんでいるようだった。
『征十郎?なんかあった?』
「…いや、なんでもないよ。」
今日の練習メニューについて考えているのかな?とそのときは思っていた。
教室に戻りまだ午後の授業まで時間があったので大輝のところへ渡しにいこうと袋を手に取り席を立つと
「どこかいくのかい?」
と征十郎にきかれたので
『あ、お手洗い。』
と答えた。何故か咄嗟に嘘をついてしまった。
(あれ?なんで?……まぁいっか。わざわざ言うことでもないか。)
パタパタと教室を出ていくワタシを征十郎が後ろで目を細め見ていたことなどワタシは知る由もなかった。
朝と同じように大輝の教室に行くとまた顔を覗かせる。またヒソヒソとこちらを見ている生徒もいてそれにより大輝がこちらに気がついた。
目があったのでちょいちょいと手招きをするとこちらに向かい歩いてきた。
「おーどしたー?」
目の前にいる大輝は昨日ワタシの家にいたときとは雰囲気が違い“私”の知っている青峰大輝であったがふわっと昨日かいだ大輝の匂いを感じ胸がドキっとした。
『これ。昨日うちに置いてったやつ。』
ワタシが袋を手渡すとん?なんだ?と思った大輝が軽く袋のなかを覗く。
そうするとさっきとは雰囲気が変わり少し顔が赤くなった。
「あーーわりぃ。忘れてたわ。洗濯してくれた系?」
『あ、うん。勝手なことしちゃってごめん。』
「勝手なことじゃねーよ!わざわざ、わりぃな。あんがとな!!」
優しい笑みでワタシの頭をポンっと叩いた。
(あ、抱きつきたい。…てなに考えてるんだ私は。)
胸をドキドキとさせまた部活でねと足早に教室へと戻った。
昨日の一件からやたら大輝にドキドキする。私は一回寝たからといってその相手を好きになるような女ではなかったはずだ。
クラブで飲んだ勢いで正直何回かそういうことはしたが後日その相手にまた偶然クラブで会ってもあぁ前にコイツとやったなーと思うくらいでまたやりたいなんて思ったことは一度もなかった。
だが大輝は違った。昨日抱きしめられた温もりが忘れられなくてまたギューっとして欲しい。と思う私がいたのだ。
少しふわふわした気持ちで教室へ戻るとすでに次の授業の先生が来ておりまもなく午後の授業がはじまった。