第9章 青いキミと【※】
しばらくするとドラマのエンディングが流れはじめる。先ほどの体勢のまま最後まで見終わってしまった。
ドラマ中青峰はワタシの頭を優しくぽんぽんとしたり手櫛で髪をすいたりしていた。
正直あの後からドラマの内容など頭に入ってはいなかった。
寄り添ってテレビを見る。第三者から見たらカップルにしかみえないような光景だった。
『………ねぇ…。…ワタシたちって“そういう”関係だった?』
沈黙に耐えきれなくなり私が口を開く。
私のいう“そういう”というのはさっきみたいに軽くキスをするような関係だったのかということ。青峰がそれをどう捉えるかまでは考えていなかった。
「ぁー。まぁ…やることはやってた……かな。」
曖昧な表現だ。“やることはやってた”。何を?青峰の発言は私が思っていたより先のことをしているようだった。
『付き合ってた?ワタシたち』
ひとつひとつその曖昧さを消していく。
「付き合ってねーよ、身体だけ。」
青峰の返事でやっぱりやってたんだ、とその曖昧さは一気に消えた。身体だけということに違和感を覚えたがやってたことについては別に驚かなかった。
“私”の人生経験上、男性と身体を重ねることなど何回もあったからだ。
ただ“ワタシ”と青峰がというのには驚く。
『………やる?』
無意識に発した言葉に驚きバッと自分の口に手を当てる。
(…え?私なに言ってるの?)
青峰は身体ごとこちらを向き
「…なに?梓やりてーの?」
フッと笑いながらワタシを見る。
『いや…今のは別にそういうわけじゃ…。』
「…んだよ。あんまその気にさせんな。記憶ねーんだろ?簡単にそんなこと言うんじゃねーよ。俺だってギリギリんとこでセーブしてんだからよ。」
唇を尖らせ大きな手でワタシの頭を少し強めにポンっとする。
「……ただ…
ーーーキスだけしていーか?」
青峰の視線がワタシを向く。
今まで身体の関係があったんだ。“ワタシ”のこと何かわかるかもしれないし……キスだけならーーー。
と思い返事はせず目を閉じ少し顎をあげ青峰のほうを向いた。
いいよという意味を理解したのか頬に青峰の手が触れ唇が重ねる。
チュ…チュと軽いキスを何度も重ねた。