第9章 青いキミと【※】
座っている青峰に入れたばかりの温かいココアを差し出す。
『身体冷えちゃってるから。』
それを受け取り一口飲むと甘ぇーな。と笑いながらそのマグカップをリビングテーブルに置いた。
青峰の座っている横にワタシも腰を下ろす。テレビにはイケメンの俳優が主演をしている再放送のドラマがうつっていた。
シリアスなシーンだったからかそれを集中して無言で見ているワタシ達。
パッとテレビがCMに切り替わる。先ほどのシリアスものとは違い陽気なCMソングが流れた。ひきこまれていた緊張の糸がほどける。と同時に横に座っていた青峰がワタシのほうへ詰め寄り肩に腕をまわした。
ワタシの頬に手を添え自分の顔を近づけると軽くキスをした。長いキスではない。本当にちゅっと軽くしただけ。
いきなりのことだった。
唇を離し少しの間見つめあったあと何事もなかったかのように青峰はまたテレビへと視線を戻す。
ワタシの肩を抱いたまま。
コテン、とワタシの頭を自分の肩のほうへ倒させるとそのままワタシの頭を撫でながら
「ワリィ………。」
と言った。
数秒の出来事だった。だけどものすごく長く感じた。キスしたのも一瞬だけだ。だがその間あ、私青峰とキスしてる。と冷静に頭で考えていた。その思考が働くくらい私には長く感じた。
不思議と嫌悪感は抱かない。何故だろう。この前屋上で灰崎にされたときは嫌で嫌でしかたなかったのに。
あ、でも征十郎のときも軽く拒みはしたものの嫌ではなかった……ような……。
CMが終わり先ほどのドラマの続きが始まる。私は青峰の言葉になんと返したらいいかわからずそのまま黙ってテレビをみていた。