第6章 青い空
ねぇ、お兄ちゃん、と私は疑問に思ったことを口に出す。
『こんないい家に住んでるのになんで自炊してるの?…お手伝いさんとかそういう人がやったりしないの?』
私のお金持ちのイメージは使用人をはべらせ何から何まで使用人にさせている、というものだった。
だがこの兄妹は食事だけではなく洗濯や掃除など出来る範囲の家事はすべて自分達でこなしていた。
「梓がね言ったんだよ。『自分のことは自分でやりたい。』って。だから家の中のことは俺たち二人でやってる。まぁこの広さだからたまに掃除の人がきてやってくれたりもするけど。」
へぇ、と返し兄の作ってくれたシチューを食べる。
(ワタシってしっかりしてる子だったんだ。)
「学校どうだった?なにか困ったこととかなかったか?」
食事を続けながら兄との会話は続く。
困ったことはたくさんあった。だがどれも大したことではなくわざわざ言うことでもないなと思ったが
『んーワタシ、友達いないみたい。』
お年頃の中学生にとってこれは結構な問題ではないかと考えてた。その言葉に食べかけシチューのスプーンを皿に戻し兄が少し吹き出しふふッと笑う。
「梓あんまり愛想よくなかったからなー。俺にはお兄ちゃんお兄ちゃんって尻尾ふるくせに外に出たらつーんと澄ました顔して。まぁ梓自身が人と関わるの避けてたっつーか、一部の子たちを除いて来る者拒み去る者追わずみたいな、、。」
その一部ってのはキセキを含めたバスケ部のメンバーだろうなと思った。
「周りに人がいないのにしっかりしすぎてるから俺逆に心配でさ。だからいっぱい甘えてもらえられるように梓の前ではお兄ちゃんらしくいようと思って。料理とか頑張って覚えたんだよ。」
あー、過保護だと思ったのはそのせいか。今までの兄の行動に納得がいった。
でもそんなに妹にべったりだと彼女とか出来ないよ、と第三者目線で心配をする。てか…