第4章 奇跡の出会い
「あぁ。紫原。相変わらず早いね。」
「お腹すいたからねー。お菓子だけじゃたりないしー。」
征十郎がトレーを置き彼の隣に座る。向こう側には征十郎越しにでもはっきり姿の確認できる大柄な男子生徒が座っていた。
征十郎の横に自分も腰掛けると
「あ、梓ちんだー。今日も唐揚げー。一個ちょーだーい。」
とその男子は話かけてきた。
む ら さ き ば ら だ !!!
大きな体に紫色の髪、そして◯◯ちんという独特の呼び方。
征十郎のチームメイトと聞き予想はしていたもののいざ本人を目の前にするとやはり戸惑いは隠しきれない。
「紫原、昨日伝えただろ?今の梓は俺たちのことを忘れているんだ。梓がびっくりしているじゃないか。ちゃんと自己紹介をしろ。」
「あれー?そんなこと言ったっけー?でも、まぁー赤ちんが言うんだから本当なんだろーねー。梓ちーん。俺は紫原敦ー。梓ちんの友達だよー。はい、これ。友達のしるしー。」
征十郎の前を通して紫原から何かが手渡される。
『まいう棒…』
あのまいう棒だ。
「紫原が他人にお菓子をわけるなんて珍しいな。」
征十郎が感心した様子でこのやりとりをみていた。
「梓ちんは特別だからねー。」
何が特別なのか私にはわからないがあの紫原からまいう棒を貰ったということがこの原作のファンとしては最高に喜ばしいことだというのは理解できた。