第4章 奇跡の出会い
(……あれ?誰も話しかけてこない。)
中学校ってこんなんだっけ?と自分の中学時代を思い出そうとするがもう十年ほど前のことなどはっきりとは覚えていない。
ただ休み時間や空き時間はクラスの友人と昨日やっていたテレビ番組の話をしたり友人に宿題をみせてもらったりもっとうるさかったイメージだけはある。
周りをみるとそのイメージ通りの行動を皆がとっているにも関わらずワタシは席にぼっちの状態であった。
(ワタシって友達いなかったのかな、、)
隣の眼鏡男子に
「ねぇねぇワタシって仲良い子とかいた?」
と聞いた。
普通ならクラスメイトにこんなことは聞きづらいのだが今の私はワタシであってワタシじゃないので他人事のように聞くことができた。
「あ、、あの、、、えっと、、。」
眼鏡男子はしどろもどろとしワタシの質問への回答は返ってこなかった。
「そんなに友人と交流関係があったほうではないね。」
眼鏡男子の変わりにその横に立っていた征十郎が答えた。
いつからいたのかはわからない。
『そうなんだね。』
「そうだ前田くん。俺と席を代わってくれるかい?梓はまだ今の状況に慣れていないから俺が隣でサポートしようと思う。先生は承諾済みだ。」
眼鏡男子は前田くんというのか、とそのやりとりをみているとわかったと自分の荷物を抱え席を移動した。
有無を言わせない征十郎の姿を目にし、あーやっぱりあの赤司征十郎だー。と実感した。
入れ替わりに征十郎がそこに座る。
「俺はこのクラスの学級委員をやっているからね。何が困ったことがあれば何でも聞いてくれ。」
征十郎が爽やかに微笑んだ。
胸がドキドキした。