第4章 奇跡の出会い
担任が教壇に登るとクラスの皆が席に着いた。
「えーっと、とりあえず水崎、立ってー。」
そう言われワタシはのっそりとその場に立った。
「今日から水崎がまた学校に来ることになった!おかえり!」
担任の無駄に爽やかな笑顔が鼻につく。
本当に中学生だったら素直にありがとうございますと返すが25歳の私にはその担任の笑顔がとてつもなく胡散臭いものに見えてしまった。
「学校に来れるようになったのはすごく嬉しいことだが一つ皆に伝えておくことがある。」
これが本題なのだが先ほどの応接室で自分の記憶障害については隠すことなく皆に伝えてくれて大丈夫だという話になっていた。
「水崎が事故にあったということは先日伝えたが、その際頭を強く打っていて記憶障害になったらしい。今までの学校生活や日常生活においての記憶がなくなっている。言葉や生活についての知識は忘れたわけではないので普通に生活出来るが皆の記憶がないから、そうだなー、転入生のような状態だ。わからないことが多いから皆でサポートしてあげてくれ。」
担任が皆に簡単に説明し終えたのを確認すると皆のほうを向きよろしくお願いしますと一礼して席についた。
朝礼が終わりまたぼーっと席に座ったままでいた。