第4章 奇跡の出会い
行こう、とクルッとまた彼が方向転換をし歩き出したので彼のあとに続く。
進んだ先には教室の扉があった。
応接室のあった廊下はものすごく静かであったが教室の前まで来ると同じ制服を着た学生が何人かいてガヤガヤとしていた。
その扉をくぐると教室の中にも同じ学生の姿が。
「まだ少し時間が早いからね。みんなはまだ揃っていないよ。君の席はあそこ。もう少ししたら朝礼がはじまるから。」
征十郎が指差したのは教室の窓側最後尾。
ありがとうと伝え自分の席へと向かう。
席側の席へ向かう梓の姿を少し眺めた征十郎も廊下側前方の自分の席へとついた。
(一番後ろ窓側とかめっちゃいい席じゃーーん!てかこの机と椅子の感じ懐かしいなー)
椅子に手をかけガタッとひきワタシはそこに座った。
すでに隣に座っていた眼鏡をかけた大人しそうな顔をした男子におはよう、と軽く挨拶をすると彼はこっちを横目に見て小さな声でおはようとだけ返しまた机の上のノートへ視線を戻した。
(あれ?仲良くないのかな?)
その態度の素っ気なさにそんなことを思ったが中学生の思春期真っ只中の男女関係はこんなものだったかなと少し懐かしさを感じながら今度は窓の外へ目を向けた。
外を眺めていると先ほどよりも教室の中がざわついてきていたのでまた教室内へ視線を戻すと先ほどより学生の姿が増えていた。
ふと征十郎の方へ目をやると何人かのクラスメイトと会話をしていた。
(へぇ、征十郎ってクラスに友達いたんだ。)
と少し失礼なことを考えながらもそこにある征十郎の姿はごく普通の中学生であり私の知っている威厳あるものではなかった。
そんなことを考えながら征十郎を見ていたら彼がこちらの視線に気が付き目があう。
ハッとしてペコっと軽く頭を下げるとまた窓の外に視線を向ける。
ガラガラと教室のドアが開き
「朝礼始めるぞー。」
と先ほど担任が教室に入ってきた。