第3章 ここはどこ、私は誰?
目の前にあるマンションは見上げても最上階まで視線は届かないくらい高かった。
そのマンションになんの迷いもなく入っていく兄の後ろをひょこひょことついて行くと綺麗なエントランスにコンシェルジュが二人。
「おかえりなさいませ。水崎様。」
兄はこんばんは。と挨拶を返しエレベーターへと向かう。
ワタシも続いて挨拶をしまた兄の背中を追いかけた。
エレベーターに乗ると最上階のボタンを押し高速エレベーターの圧を感じながらどんどん上へと上がっていった。
ふわっと体が浮くような感覚を体感するとエレベーターの扉が開き目の前に扉がひとつ。
兄がエントランスのオートロックで使った鍵とは別の鍵を取り出しドアを開ける。
「おかえり、梓」
と入るように進めた。
中に入ると綺麗な大理石の廊下。
玄関だけで軽く一部屋あるのではないか?と思う広さだった。
「ほら、靴脱いで早く入って!!廊下真っ直ぐでリビングだから!」
兄に背中を押されスリッパに履き替えパタパタと廊下を進むといったい何畳あるのかというぐらい広いリビングが広がっていた。
「お茶いれるから座ってて。」
と言われそのリビングにある大きなソファにちょこんと座る。