第16章 赤いキミに【※】
「ねぇ梓?」
征十郎の問いかけに、ん?と首を傾げ答える。
「テスト…一位をとったご褒美が欲しい。」
ネックレスに触れていた手が私の頬へと移動する。
『何が欲しいの?』
すると征十郎は私の頬から手を離しぽんぽんと座っている自分の太ももをたたいた。
「…ここ……座って?」
『へ?そこ?』
「うん、ここ。」
そう言いながら微笑むとまた自分の太ももをたたく。
いくらなんでもそれは恥ずかしいと思い戸惑っていると征十郎に軽く腕をひかれる。
「いいから…ほら、早く。」
私は渋々彼に背を向け足の上に腰をおろした。
「そっちじゃなくてこっち。」
私の腰を掴みくるっと自分のほうに向かせようとする征十郎。私は少しお尻を浮かせ彼のほうを向いた。
ソファーに座っている征十郎の足の上に跨って座る状態になる。
その状態の私を彼はグッと抱き寄せ首元に顔をうずめた。跨っている状態なので征十郎の頭が自分の口元にかかる。フワッと彼のシャンプーによる自然な香りが鼻をかすめた。
「梓の匂い…いい香りがする。」
スンスンと鼻を鳴らし首元の匂いを嗅がれる。恥ずかしさを感じるものの征十郎のシャンプーの香りと抱きしめられている心地よさにそのまま彼に身を委ねた。
「ボディクリーム…ムスクの香りだったね。俺も同じものなのに蓋をあけても梓の香りとは少し違うんだよね。もう少し梓のほうが甘い香りがする。」
そう言って私の首筋をペロッと舐めた。
『ぬぁ…!』
征十郎のいきなりの行動にまぬけな声を出してしまう。
「…甘くはないね…。でも、もっと舐めたい。」
先ほどよりねっとりと首筋に舌を這わせてきた。
『…ん、征十郎!!ちょっと待って!』
両肩を押し彼の顔を首筋から離す。
『これがご褒美?なんかおかしくない?』
「ん?何もおかしくないよ。……俺は梓が欲しい。」
征十郎は私の背に腕を回し引き寄せると後頭部にも手を回し自分の顔に近づけ唇を重ねた。
その手にはかなりの力が入っていて両肩を押しても先ほどのように突き放すことは出来ない。
私が唇を閉ざしている為そのキスは深くはないものの唇を舌でなぞられ甘噛みをされる。
ちゅ…ちゅぱ…
音を立て執拗に唇を責められるが私は断固として口を開くことは無い。