第16章 赤いキミに【※】
そうして皆で帰る日を迎えた。
『ってゆうか、アイス…寒くない?』
確かに、と頷く三人と全然とこたえる二人。
「アイスじゃなくて好きなものにしようよ!二百円までで!」
「それがいいのだよ。俺はおしるこだ、赤司。」
「じゃあ俺は…前に梓と食べたやつにしようかな…。」
征十郎がこちらを見て笑う。コンビニに向かう途中までに各自好きなものを指定していく。
そんななかやはりアイスだ、と言いきる大輝とその二百円ギリギリまで何を買おうか悩む敦。
コンビニに到着するとバッと各々自分の欲しいものをとりにいく。
「梓は何にするの?」
そう尋ねられレジの前のケースを見つめた。
『私も肉まんにしようかな……うーん、でもピザまんもいいな…。』
「じゃあ俺がこっちを買うから梓はこっちにしなよ。半分ずつ交換しよう。」
征十郎がケースを指差す。私はその案にのり、うんと答えた。
皆が自分の買いたいものを買ってもらう相手に伝えそれを手にするとコンビニの外へと出た。
「おい、紫原!んだよ、二百円までっつっただろー?!なんでそんな菓子持ってくんだよ!」
敦の手にはとても二百円では収まらなかっただろうお菓子が持たれていた。
「峰ちんにはちゃんと二百円だけ出して貰ったじゃーん。残りは俺が出したしー。」
敦はのんきにそのお菓子に手を付ける。大輝がくそっ、と言いながら自分の手にしたアイスを口に入れた。
「青峰くん…寒そう…。」
桃井がコーンスープの缶を両手で持ち大げさに身体を震わせた。
「はい、梓。これ。」
半分に割った肉まんを差し出してきた征十郎。私もピザまんを半分同じように渡す。
「へぇ、ピザまんって結構本格的なんだね。チーズまで入ってる。」
征十郎が物珍しそうにそのピザまんの断面を見ていた。
皆がそれを食べ終えると寒いしそろそろ帰ろうという流れになった。
「梓、送るわ。」
大輝がバッと私の横に来てそう言った。
『あ、じゃあ三人で帰ろっか。』
と桃井のほうを振り返り手招きをした。
「俺ちょっと買い物して帰るからいくねー。じゃあねー。」
「俺も帰るのだよ。また明日。」
二人が手を振り背を向け去って行った。