第15章 テスト週間
『なになにー?』
少し身を乗り出すと征十郎がこちらにそれを差し出し見せてくれた。
『…ふはッ。』
湯島天神の鉛筆。しかも1ダース。
「テストがあるからな。まぁ赤司には必要ないとは思ったが何事にも人事を尽くすことは大事なのだよ。」
緑間が眼鏡をあげながら少し恥ずかしそうにしていた。
「おっ!赤司!それ一本くれよ!」
「私もー!みどりんの鉛筆とかご利益ありそー!」
「おい、この鉛筆は人事を尽くしたものにのみご利益があるのだよ。お前らが持っていても無意味だ。」
「まぁ緑間、俺一人でご利益を一人占めしては神様が怒るかもしれないからね。あと青峰のテストに関しては言葉通り神頼みということで……皆にわけてもいいかい?」
「…む、赤司がよければそれでいいのだよ。青峰、追試になったらただじゃおかないのだよ。」
あの緑間もやはり征十郎に言われたら何も言い返せないんだな、とそのやり取りを見ていた。
「次は紫原のか……。」
敦からのプレゼントはその体格に似合わず征十郎の手のひらに乗るほど小さなものだった。ペリっとその包装袋の口を開けると中からは小さなストラップが出てきた。
「ストラップ…?」
「うん。まいう棒のストラップー。赤ちん豆腐好きでしょ?だから麻婆豆腐味のー!前に期間限定で出てたときに応募して抽選の当てたんだけど豆腐だしパッケージもちょうど赤いし……だから赤ちんにあげる。」
ふにゃりと敦が笑って説明した。
それは買ったものではないものの面倒なことが嫌いな敦がわざわざ応募までして手に入れたものだった。征十郎にも小さいもののそのストラップが敦にとって大事なものということはわかっていた。
「ありがとう、紫原。うれしいよ。」
先ほどまで敦に怒っていた征十郎だったがプレゼントの中身を知りその怒りはおさまっていた。
「最後は梓のか……。」
紙袋から包装紙に包まれたものを出しリボンをほどき中身を取り出す。
「…随分可愛らしいね。」
征十郎が中身をみてキョトンとしていた。
『ボディークリーム、私とおそろいなの。征十郎には可愛すぎたよね…。』
「…梓もこれと同じなの?…すごく嬉しいよ。あとリップも。ちょうどもうすぐなくなりそうだったんだ。ありがとう。」
少し不安だったが征十郎が笑って喜んでくれたためホッと息をついた。