第15章 テスト週間
「お!バッシュは?」
大輝がスポーツ用品店の前で言った。
「そんな高いもの買えないでしょ?ってゆうかそれ青峰くんが欲しいものでしよ。」
「あーまあな、俺ちょっと自分のバッシュ見てくるわ!」
とスタスタと中に入っていってしまった。
桃井と一緒にそのあとを追う。
靴のコーナーに向かう途中大輝が足を止めこれは?とタオルを指差した。
「これだったら使うんじゃね?…俺これにするわ。他探すのめんどいし。……って意外に高ぇーな。」
スポーツブランドのタオルは中学生が買うには少し高かった。
「…おい、さつき!半分だせ。」
「高いなら違うのにすればいいじゃない!」
「100均とかか?赤司がそんな安物使うわけねーだろ!半分ずつ出しゃあいーだろ。」
青峰の考えは極端だったが確かに征十郎の身の回りはある程度いいもので固められているから微妙なものだと洗濯のときとかに捨てられてしまいそうだな、と思った。
「うーん、わかった。それにしよ。私もそんなに予算ないし。」
と言って二人でひとつのプレゼントを買う方向で決まったようだ。
そこに幼馴染の壁を感じるが気にしない気にしないと心の中で何回も唱えた。
そのあと大輝がバッシュを見てあれが欲しいこれが欲しいとなかなか終わりそうもなかったので二人をその場に残し後で連絡するということで私はひとりでプレゼント捜しを続けた。
(どーせあげるならなにか実用的なものがいいなー。)
と考えるが思い浮かぶものはすべてありきたりなものですでに征十郎が持っていそうなものばかりだった。
ふと目を横にやると美容グッズのお店があり可愛らしい容器に入ったシャワージェルやボディークリームなどが置かれていた。
(さすがに男の子はこれ使わないよね…)
と思いながらも店内にはいり色々見て回る。その一角に色とりどりのケースに入ったハンドクリームが売られていた。
赤はローズ、水色はせっけん、紫はラベンダー、など色によって香りが分かれていた。
それぞれの蓋をあけ匂いをかぐ。
(あっ、これいい匂い。)
それは白いケースに入ったムスクの香りだった。せっけんの香りに近いのだかこちらのほうが若干粉っぽい。