第1章 worst world
青々とした空。降り注ぐ太陽。それらの風景に混ざるようにして、飛んでいるカモメ。
少しだけ視点を下げると空の色に劣らない、太陽の光を反射して飛び込んでくる青、青、青。海だ。
潮の香りをめいいっぱい吸い込んで、それを吐く。今日は昼寝日和だ。
ひと眠りするか。
「―――で、前も言ったと思いますが、武族って言うのが一族ずつで集団で過ごしていて、基本的に頭領の言う事を聞いて行動を……って…ユアン!! 聞いてますか?!!」
「んぁ? 聞いてねぇよ」
大きな金切り声で目を覚まし、大きなあくびをする。
「せめて冗談でもいいから「聞いてたよ」とか言ってくださいよ!!」
「何でだよ。俺、聞いてなかったんだぜ? 嘘は言わねぇよ」
「ごもっともですけど! ごもっともなんですが、聞いてなかったユアンがそんな偉そうに言わないでください!」
ギャーギャーと言いながら俺たちの乗るいかだを、大きく揺らすそいつ。銀の髪に緑の眼鏡、大きな真緑の瞳。肌の露出を極限まで無くしたような服装は、こちらから見れば暑っ苦しい。
「なんでいつもいつもユアンはそうなんですか!! アルベロ怒りますよ!!」
「アルベロはもう十分怒ってんじゃねぇか」
「分かってるなら少しは宥めてください!!!」
最後に「もぅっ!」と吐き捨て、ちょこんといかだに座り直すアルベロ。
「とにかく! ユアンは知識が足りなすぎます! ちゃんと勉強してください!」
「はいはい」
「ダメです!! そんな軽い返事はダメです! 信憑性がありません!!」
「分かった。真面目にやるから」
「やっぱりダメです! アルベロはユアンは信じられません!」
「じゃあ最初から言わせんなよ!」