第2章 消えた大樹
「うぅっ……マグノリア…どうしてっ……どうしてっ……!!」
目の前でその男は悶絶をしながらそう言っていた。
―――なんだ、この男は…。初めて見るな。この街の住民では無いのか…?―――
「マグ……ノリアぁあぁぁっ…あぁぁっ…」
男はそう言って、顔を少しあげ胸元から何かを出した。
それは小さな首に掛ける式のペンダントのようなものだった。それにはニッコリと笑っている女性の姿があった。
おそらく、この女性が彼の言うマグノリアだろう。
おおよそのこの男の考えは分かった。
先程から言っている『マグノリア』という女と何かしらあり、それを修復するために、願いがかなうという自分―――セオのところまで来て願いに来た。そういったところだろう。
―――そんなことされても、困るのだが…。男女のイザコザなど、自分にはどうしようも出来ない―――
そう誰にも届かない言葉を言って、その男を見おろす。
「どうして……どうして死んでしまったんだああぁあぁぁ…!!!」
―――……え…―――
自分はその言葉を聞いて驚いた。
そうか、この男は愛人をなくして哀絶しているのか。なるほど。
―――人は寿命が短いし、これは生命では当たり前だが、いつ死ぬか分からないからな。人間も、それくらい分かっているだろうに…―――
そうして自分がその男に興味を無くし、空を眺めていると、いつのまにかその男は帰って行っていた。
―――どいつも、人間とは同じなのか…―――
なぜこんなにも虚しいのだろうか。
その時の私は知らなかった。