• テキストサイズ

罪深き河童よ(銀魂:桂夢)

第1章 罪深き河童よ


「ヅラァ、テメーにしちゃあ随分と悩んでんじゃねーの。何? その女にでも惚れたのかよ?」

「バカ言え。俺はあくまで『人として』あの女を憂いておるのだ。田舎の祖父母に仕送りをするため奉公に出て、勤め先で体を良いように手籠めにされ、そればかりか血の繋がった子までも殺されるのだぞ? これを哀れずして何としよう」

「……なおさら、らしくねェわな」

「何か言ったか、銀時?」

「さっさと女を拐っちまえ。そんで、そいつに母ちゃんとしての幸せを与えてやれや。俺も協力してやる」

大見得切って万事屋店主は友人の後押しをした。そして言いながら彼はソファから腰を上げ、押入れの奥から埃のかぶった段ボール箱を取り出した。桂の目の前に差し出されたソレは蓋が閉まっておらず、中には緑色の衣装が入っているのが見て取れた。

「銀時、これは……!」

中身が何なのかを確認しようと手に取れば、出てきた物に桂は驚いた。何故こんなものが万事屋にあるのか。それは河童の着ぐるみであった。かつて魚釣りに行った池で出会った、河童の姿をした天人の住処を守る為に着たソレだ。

中にはまだ一度しか来ていない3着。新品同様の衣装を使い、女を助けろと言うのか。桂は思いもよらない銀時の心遣いに胸を打たれた。どんなに桂を蔑ろにしようと、銀時は友を見捨てるような事をしないのだと。双眸に濡れた熱が集まるのを感じながら、桂は感謝の念を送る。

そんな桂の感動に肯定するように、銀時は爽やかな笑顔を携えた。

「一時間、5000円な」

もちろん、余計な一言も添えて。

「き、貴様ァアア!! 古き友人の助けに金を取るつもりかァアア!!」
/ 9ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp