第3章 Battle3 まず、生活の基盤を整えよう
「靴、壊れてるぞ」
「あ、本当だ……。うわぁ、お気に入りのミュールだったのに……」
はぁ、後で買い直さないと。
手鏡を見ると、髪もボサボサになってる。
メイクだって崩れちゃってる。
あっちゃー、直さないと。
「ごめん、ちょっとトイレで身だしなみ整えてくる」
「あぁ、ゆっくりしてこい」
さっきの騒動で行列はなくなって、ラッキーだけどね。
僕は、小走りにトイレへ向かう。
その途中、さっきのカップルが居た。
女の人は泣きながら、浮気男を引っ叩いている。
そして、浮気男はその場に取り残された。
これは、チャンスだ。
僕も彼の方に近寄っていく。
ミュールの代金払ってもらおう。
「人に厄介事押し付けて、お陰でミュールが壊れたんですけど」
「ご、ごめんなさい……。こ、これくらいで……」
出されたのは、千円。
それでミュールが買えても、カンカン音が出るじゃん……。