第21章 ただいま現世
今だって、今剣くんを遠くから呼んでる。
左文字派が、嬉しそうに三条派と会話してるのを見てしまった。
もしかすると、ただ単に三条派と仲いいだけかもしれない。
だって、三条派って思ったより人懐っこい刀剣ばかりだ。
そう、頭に言い聞かせる。
でも、やはり『嫌われてるのでは』という思いが頭のなかにぐるぐると回る。
なんていうか、左文字派が僕と喋る時、目をあちこちに泳がせるのを見て、僕は思うんだ。
やっぱり、僕は歴史修正主義者の所にいたほうがいいんじゃないかって……。
ずっと、ずっと僕についてくる姫鶴一文字の影。
彼女の悪評が凄いせいで、僕は未だに一部の刀剣から距離を置かれてる。
僕のせいじゃないのに、僕のせいなんだ。
なんだろう、とっても理不尽だと思うよ。
たぶんそれは、僕がここに居る限り、ずっとついてくるだろう。
僕は、静かに窓の外を見ながらそう考えた。
僕の隣には、みっちゃんが居る。
目の前には倶利伽羅や長谷部が居る。
後ろには、粟田口兄弟が居る。
だから、一応刀剣の仲間には入ってるけど。