第21章 ただいま現世
僕は、そそくさとみっちゃん達の近くによる。
そして……。
「おかあさーん!! 何やってんのー?」
ぎゅーって、みっちゃんに抱きついた。
みっちゃんは、『お母さん』と呼ばれて驚いてるけど、顔が赤いぞ。
どうやら、本当に心変わりはしてないらしい。
「おかあ、さん……?」
そして、シイナちゃんは大きく目を見開いて、僕を見つめるんだ。
「正しくは、僕のことをお母さんみたいにお世話してくれる人」
「凄く、料理が上手で、裁縫なんかも得意なんですよ……?」
シイナちゃんの目が、絶望色に染まってきてる。
どうやら、『みっちゃんは女』だと勘違いしてるようだ。
僕は、嘘なんて言ってないし、あっちが勝手に勘違いしてるだけだよ。
「そういえば、鶴丸ー。この前アンタが買ってたビキニの水着どうしたの?」
「あー、倶利伽羅にプレゼントしたんだがなぁ……」
「――誰が、あんな小さいサイズ着るか」
ビキニと言っても、男性用のビキニだ。
誰も、女性用のビキニとは言ってないぞ!
なのに、シイナちゃんはポロポロと大泣きし始めた。
「酷い、ネカマなんて酷い!! 私を惚れさせて……。だから、女だからヤらせてくれないし、シイナのことも相手にしてくれなかったんだ……!!」
シイナちゃんの発言により、お友達はおろおろし始める。
「お友達さん、これでどっちが正解かわかったよね?」
「す、すみませんでした!」
「――悪いけど、正義(ジャスティス)の名に置いて、シイナちゃんを天使のまま居させるわけにはいかない」
後ろから、ぐっさりとしたウリエルさんの視線を感じる。
彼女は、堕落しないように見張っててくれたんだもん……。
「幼気な子供を泣かせた罪は重いよ!」
五虎ちゃんを泣かせたんだもん。
その罪、きっちり償ってもらいましょう?