第21章 ただいま現世
「でも、火に油を注ぐだけじゃないかと……」
「僕もそう思うよー」
「うーん、じゃあ、どうすればいいかしら? お願い、セレナだけが頼りなのよ……」
どうにかしてって言われても、ねぇ。
考えていると、聞き慣れた声がした。
でも、それは凄く険しい内容だと思う。
「だから、僕らはそんなことしてないって!!」
「じゃあ、シイナが嘘言ってるって言うの!?」
ぎゃんぎゃんと騒ぐ女の子。
相手は、悪魔のソードマンだ。
シイナちゃんは……、女の子の後ろに隠れてメソメソと泣いてる。
が、僕を見て一瞬般若のような顔になったぞ……!?
「ウ、ウリエル様!?」
「凄い、顔ね……」
「か、可哀想です……」
その時だった。
五虎ちゃんが、彼らを見てポロポロと綺麗な涙をながすんだ。
「光忠さん達が、可哀想です……」
本物の羽をつけて、綺麗な涙を流す五虎ちゃん……。
「皆、疲れきった顔してますよ?」
涙目で、僕を見上げてくる五虎ちゃん。
あぁ、他人のために泣くなんて、この子はなんて天使なんだろう!
白い羽が良く似合うよ……!!
し、しかも泣き顔がぐうかわ!!
そして、僕の服の裾をぎゅって握るんだ。
ちっちゃいお手々で……。
「よし、僕に任せなさい!」
「ひいさまっ……、僕もお手伝いします!」
マイエンジェルのために、やったるぜー!