第21章 ただいま現世
「そもそも、アンタが最初に言わなかったのが悪いんでしょ!!」
「悪いけど、誰もみっちゃん達が女だなんて一言も言ってないよ」
「へっ?」
「皆男だよ。君が、勝手に女だと勘違いして自爆しただけでしょ」
「酷い、騙したんだね……!」
その時、辺りに乾いた音が響いた。
お友達が、無表情でシイナちゃんを叩いたんだ。
「騙されたのは、こっちのほうだよ。彼らにレイプされたって言わなかった?」
シイナちゃんは、俯いたまま何も喋らない。
「アンタのせいで、私まで悪いことしたんだけど」
見下ろしながら、友達さんは悔しそうに拳を握る。
余程、信用してたんだろう。
自分のやったことの大きさに、打ちひしがれてるのかもしれない。
それ以上、シイナちゃんは何も言わなかった。
ただ、ひたすら下を向いて自分の髪をくるくると巻いて弄ってる。
どうやら、略奪が趣味な子のようだ。
別に、本当に好きになったのなら応援するのに。
「意見は変わらないよ。シイナちゃん、君には堕落してもらう」
シイナちゃんは、何も言わない。
どうせ、キャラデリするつもりなんだろう。
後で、弟に言ってシイナちゃんの垢を停止してもらおう。
そのほうが、彼女のためにもなる。
ネトゲなんていう、いつでも略奪し易い環境は、彼女にとっては格好の遊び場になりやすいんだ。
これが、俗にいう姫ヒーラーだな。
姫ヒーラーって、大体男好きで男を侍らせようとする性質があるのさ。