第21章 ただいま現世
「無理やり言わせたくはないんだよ?」
無理やり言わせようと、誘導尋問してる癖に。
「あの時、何が合ったの?」
――何て言おう。
言葉が、見つからないんだ。
「ゲーム内で攫われて、襲われそうになった時、叫んでも助けてもらえなくて」
「距離が遠かったとか?」
「理由はわかんないよ」
「――あー、通りで。ヒーラーって、一番攫う人気が高くて、難易度も低い職なのになぁ」
「うん、そうだね。もう、ヒーラー止めたくなる」
「ソードマンに戻れば、姉さんだって攫われないしね」
そうだよ。
僕は、ソードマンに戻れば、こんな苦労しなくてすむんだ。
元々、あんな頼らなくちゃいけない職なんて、好きでなったわけじゃない。
なのに、やれ姫ヒーラーだの、やれ手下だの。
僕だって、好きで狩りニートしてるわけじゃない。
仕事が全くなかったんだ。
「でもまぁ、姉さんたちって、結構普通のプレイヤーに合わせて冒険してるでしょ?」
「うん、それが普通でしょ?」
「それが、駄目なんじゃない? 楽勝に狩れるなら、もっと危険で美味しい場所行くとか、考えはあったはずだよ」
言われてみれば、そうだ。
狩場が楽だー、楽だーと言ってばかりで何も改善しようとはしなかったのは、僕自身だ……。