第20章 過去へ……
「姫鶴ちゃん、姫鶴ちゃん!!」
籠に乗せられる前、兵を巻いて、必死にみっちゃんがこっちに来ようとしてる。
でも、すぐに兵に捕まり、悔しそうに手を伸ばすんだ。
「さ、どうぞ」
僕は、強制的に籠に乗せられ、出発をした。
皆の悔しそうな声が、どんどん遠くなっていく。
あぁ、僕は何処へ行くんだろう?
* * *
籠から降ろされた場所は、見慣れた風景だった。
――そこは、本丸。
目の前には、審神者姿の優ちゃんが居る。
――あぁ、あの大金は優ちゃんが出したのか。
「おかえり、姉ちゃん」
「――ただいま、優ちゃん」
その後、僕は歴史修正主義者の手により、遠い過去の世界へ送られたことが発覚。
今頃、本物の姫鶴一文字に戻ってる頃らしい。
そういうことだったのか。
五虎ちゃんやみっちゃんが言ってた「一時期の姫鶴」は、僕のことだ。
――そう、歴史修正主義者に心を売り渡した刀剣の成れの果て。
僕は、優ちゃんに連れられて、本丸から自宅へ帰るけど、僕以外の姫鶴一文字は見かけなかった。
あの姫鶴は、何だったんだろう……?
「姉ちゃん、服着替えてきなよ。そんな服、らしくないよ」
「――うん」
どうやら、あの姫鶴一文字は僕の写しを作ってる途中なんだとか。
でも、上手く性格が写せなくて、何度も何度もやり直し、結局諦めて僕の性格ではなく、以前の性格の姫鶴一文字で写しを実装したんだとか。
だから、姫鶴一文字は居なくなったんだ。