第20章 過去へ……
その日、僕はまた動きにくい着物を着せらて、身動きが取れなかった。
それだけが理由じゃない。
この頃、義姫様が僕を連れて行こうとする。
――どうやら、僕を連れて行けば、大金が手に入るらしい。
その金があれば、伊達軍は一気に兵を増やせる。
苦しんでる民も救うことができる。
そう、義姫様は言ってた。
私を手放すだけで、金が手に入るのだと。
「大丈夫だよ、姫鶴ちゃんのことは絶対守るから」
「――うん、ありがとう」
ここ最近、ずっとみっちゃんが側に居る。
理由は、よくわからない。
前までは、あんなに家事とかを頑張ってたのに。
もしかすると、僕はもう潮時なのかもしれない。
伊達軍には居られないのかもしれない。
それが、みっちゃんにはわかってるんだ。
もう、こうやって僕を隠しておくことができないって。
僕は、天井裏に居た。
部屋は全部義姫様が見て回るから、こうするしか方法がない。
夜だって、義姫様の兵が僕を探しに来る。
僕は、何も悪いことはしてないのに……。
「義姫様、ここに居ました!!」
「くそっ、見つかったか!」
みっちゃんが、僕を抱いて逃げる。
――やっぱり、もっと動きやすい着物にすべきだった。
そうしたら、逃げられたかもしれない。
武田軍が迎えにくるまで、どうにか頑張れたかもしれない。
でも、着飾ったせいで、その長い着物のせいで、僕はあっさり捕まった。