第20章 過去へ……
僕は、みっちゃんや五虎ちゃんとお手玉をして遊んでた。
簡単に上手くいくもんだから、ちょっと飽きてきた時だった。
「姫鶴、姫鶴一文字は何処じゃ」
「はい、ここ……」
「しっ、駄目だよ」
一緒にお手玉をしてたみっちゃんに、口をふさがれた。
そして、近くにある部屋に逃げ込む。
「姫鶴、姫鶴一文字。帰るぞえ」
「姫鶴は俺の刀だ。母さんでも渡すわけにはいかねぇ」
「ふん。主の言うこと等、聞きはせぬ。姫鶴、何処じゃ。姫鶴!」
「アイツと五虎退を引き離すわけにはいかねぇよ!」
隣りにいる五虎ちゃんが、僕を強く握りしめるのがよく分かる。
そうか、返事をしたら僕は五虎ちゃんを離れ離れになるとこだったのか。
何故、義姫様は僕を欲しがるんだろう?
刀なんて、作ればいくらでもあるのに……。
その日を堺に、僕は眠ると声が聞こえるようになった。
『恵ちゃん、帰ろう!』
嫌だよ、帰りたくない。
まだ、ここに居たいんだ。