第20章 過去へ……
チョコレートを貰った日の夜、僕と五虎ちゃんは、かすがに夕飯を持って行った。
もちろん、チョコレートも一緒に。
伊達や小十郎さん、燭台切にも渡したその残りだ。
三人で分けようと思ったんだ。
「かすがちゃーん」
「今日は、ヤケに遅かったな?」
「ごめんね、コレ貰ったから」
差し出したのは、さっきのチョコレート。
結構小さくなったけど、僕は分けようと思って割った。
が、つい癖で4つになってしまった。
「これ、南蛮菓子か」
「うん、とても甘いんだよ」
「匂いだけで、とても美味しそうで……。ずっと見てたら、知らない人が買ってくれたんです」
「へぇ、いい奴だなぁ」
それが、君の知り合い猿飛佐助ですよ。
僕らは、三人で並んで座りながら、星空を見上げた。
キラキラと輝くお星様は、どの世界でも変わらない。
「ん、甘い。これは、凄く上手いな!!」
「わぁ……、口の中で溶けちゃうんですね……!」
「そうそう、この口どけ……。凄く美味しいなぁ」
こんな味、もう忘れてたよ……。
懐かしいなぁ。
僕は、残った一欠片をじっと見る。
何故、僕は4つに割ってしまったんだろう?
「――謙信様のぶんか……」
「あぁ、だから、4つなんだ……」
僕は、かすがに最後のチョコレートを託した。
謙信様のお墓に供えるんだ。
でも、できれば、謙信様も一緒に食べたかったなぁ。
その日、僕は3人で見た星空を決して忘れることはなかった。