第20章 過去へ……
僕は、怯える五虎ちゃんと共に、伊達政宗の目の前に居る。
その横には、燭台切三忠と片倉小十郎が控えている。
――確実に、五虎ちゃんを警戒してるんだ。
だって、僕が来た時には、それはもうフレンドリーだったし。
まぁ、それだけ僕の実力がなく、警戒する気もなくなるくらい、弱かったんだろう。
あーあ、不敗の王って何だったんだろう?
「姫鶴一文字と五虎退吉光は、我が主、上杉謙信様の名の元に、貴方を守護します」
五虎ちゃんは、悔しそうに唇を噛んでる。
僕は、そっと五虎ちゃんの手を握りしめた。
五虎ちゃん、五虎ちゃん。
僕らは、美しき上杉謙信様の刀だよ。
誇り高き刀なんだ。
だから、どんな命令にも忠実に従う。
それが、上杉家の名を守る、最後のあがきさ。
だって、謙信様の命令なんだもん。
僕らは、忠実に守ろう。
――そして、一人寂しいかすがのためにも、新しい居場所を作らないと。
彼女を守ること、それも謙信様の命令だ。