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【刀剣乱舞】刀剣英雄

第20章 過去へ……


「離せっ、離せっ!!」
「大人しくしなよ。政宗公が気に入ったんだ。壊れないまま、持って行きたいんだ」
「殺して連れて行け! 誰が、敵なんかに!」

結局、タッチの差で負けた。
なんていうか、後から来た兵士に加勢されたんだ……。
そ、そうだよ、きっと。

「離せ、離せ!」
「落ち着いてよ。僕、女の子の刀剣に会ったのは初めてなんだ」

『女の子の刀剣』
あぁ、そうか、そうか……。
やっぱり、そうなんだ。

「僕のっ、僕の体は玩具じゃない! 前みたいに扱われてたまるか!!」
「ッ!? お、落ち着いて。僕は、君に手を出したりしないよ」
「離せっ、この直結厨!」

嫌だ、嫌だ、嫌だ。
玩具になんて、もうなりたくない。
性欲のはけ口なんて、もう懲り懲りだ。
ほっといてほしい。

「落ち着いてって、ねぇ!」
「離せっ、離せっ!!」
「嫌だよ。何があったんだい?」
「離せっ、離せっ!!」

嫌だ、嫌だ。
負けたくない、終わらせたくない。
謙信様、謙信様、謙信様。
死なないで、謙信様。

でも、僕が連れてこられた時に、謙信様は死を覚悟していた。
地面に座り、真後ろには刀を持った伊達政宗。

――あぁ、僕は守れなかったのか。

「ぼ、ぼくを、僕を変わりに切ってください!!」

ボロボロになりながらも、五虎ちゃんは懸命に謙信様の所に行こうとする。
でも、もう駄目なんだ。

「五虎ちゃん、止めな。謙信様は、武士だ。武士らしく終わらせよう。――守れなかった僕らが出来る、最後のことだ」

気がつけば、涙が出ていた。
本当は、止めたかった。
止めれば、歴史は変わるんだ。
でも、それは謙信様の武士魂を傷つけることになる。
――無理だよ、そんなの、絶対出来ない。
あの人は、美しい。
だからこそ、ずっと美しく生きてほしい。

「ありがとう、ひめつる。わたくしのうつくしきつるぎを、よろしくおねがいします……」
「謙信様、どうか安らかに……」

あぁ、いつか、僕も貴方のように美しい戦いがしてみたい。
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