第20章 過去へ……
僕は、戦場に立っていた。
切っても切っても、兵士は押し寄せてくる。
「五虎ちゃん!」
「ひいさま!」
五虎ちゃんを斬りかかろうとしてた兵士を、切り捨てる。
絶対、仲間を殺させたくない。
でも、今日の朝僕らの会話を見て笑ってくれた兵士さんも
暑かったから、水をわけてあげた兵士さんも
無口だけど、気が効く兵士さんも
皆、皆死んでいった。
守れない、守れない、守れない。
どんどん敵が押し寄せてくる。
「さぁ、野郎ども。どんどん進め!」
「政宗公、いい調子だね!」
この声は、燭台切三忠!!
アイツ、僕の体を玩具のように扱ったくせに、謙信様まで奪うのか!
「五虎ちゃん、謙信様の所に!」
「ひ、ひいさまは?」
「行かない。戦が終わるまで、絶対行かないから」
「ひ、ひいさま……」
僕は、ここを動かない。
動く時は、勝利した時のみだ!!
「僕が相手だ!」
「女の刀剣……? こりゃあ、珍しいモンを見ちまったな……」
「政宗公、見とれてる場合じゃないよ。早く行って、ここは僕が引き受ける」
「壊れるんじゃねぇぞ」
「大丈夫さ」
僕は、剣を強く握りしめた。