第20章 過去へ……
僕は、門の前に向かう。
すると、あの後ろ姿。
紛れも無い、五虎ちゃんだ。
僕の脳裏に、泣きそうな五虎ちゃんを思い出す。
――あぁ、嫌だなぁ。
すると、五虎ちゃんが後ろを振り返った。
その表情は、何処か泣きそうな不安げな表情だ。
――やっぱり、無理かなぁ?
「五虎ちゃん、謙信様がお小遣いくれたんだ。団子買いに行こうよ」
「本当、ですか……?」
怯えるように、聞いてくる五虎ちゃん。
それでも、さっきのような完全な『拒否』の感情は出ていない。
「うん、本当だよ。でも、早く行かないとかすがちゃんに怒られちゃう」
「はい、すぐ行きましょう」
この五虎ちゃんは、僕に抱っこさせてくれるわけもない。
でも、隣に並んで、一緒に歩いてくれた。
――僕には、これだけで十分だ。
僕らは、暫く歩くと団子屋についた。
お金を見ると、どうやらみたらし、あんこ、三色の3つが買える。
しかも、僕と五虎ちゃんとかすがちゃんと謙信様のぶんも十分に買える。
「すみませーん、一種類を3つづつくださいなー」
「へぇ、まいど!」